キミの手を握りしめて、離さないで、繋ぎ止めて。





「……ね、え…麗琉、くんなの?……いや、麗琉くんだよね?」


「………。」


反応はない。


でも、私はどうしても知りたかった。
あなたの正体を。






「ねぇ……教えて?麗琉くん、あなたは…何者…?…何であのとき、助けに来てくれたの……?」

私は恐怖で声を震わせながら必死に尋ねる。



でも、肝心なことは教えることなく。








「………。俺は………犯罪者だ。だから、もう俺に関わるな……澄星。」







そう小さく、でも突き放すように冷たく呟いたあと静かに反対側へと去っていった。



静かな裏道には麗琉くんの靴音だけが響いていた………





はん…ざいしゃ……



去っていく麗琉くんを追いかければよかったのに足が地面に張り付いたように動けなかった。

麗琉くんの言葉を読み込むのに時間がかかって、一歩も動けなかった。





………その時。

いつも隣にいたはずの麗琉くんのことを私は本当に何1つ知らなかったこと、そしていつもの麗琉くんは麗琉くんじゃなかったことを思い知った。