私は二人に笑顔を向けて、先に買ってきた花をそっと置く。



何をしてももう返答は何一つない。

あの笑顔をもう一度見たいと、何度願っても返ってなんてこない。見ることができない。




………そんな耐えきれない辛さに何度死んでしまいたいと願ったことだろう。







「……もうやめよ!」



胸の中を侵食しかけた闇を振り払うようにつぶやく。吹っ切ったつもりでもこの日になると心だけがあの日へと戻ってしまう。



冷たい雨
赤い光
紅い血
私の泣き叫ぶ声
横たわる両親


__数年前の今日、私は全てを失った。




そんな過去にもう飲み込まれたくなんてない。

私はたくさん救われたのだから。




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「よっし!やっと、きれいになったかな。」