彼は立ち上がり私を抱きしめた。
「ごめん」
初めて聞いたその言葉にまた胸が痛い。私がこう言えば彼はすぐに去ると思っていた。
「なんで謝るの?私のこと男好きでだらしない女だと思ってるんでしょ?」
「思ってない。本当はそんなこと少しも思ってない。ただ、凛が可愛いから心配なだけだから」
ここでときめいてはいけない。
「私以外にも女の人がいることも知ってるから。だから直正くんにも言えないんでしょ?」
「分かった。女は全部切る。約束する」
白を切ると思っていたが彼はあっさりと認めた。
「そんなのどうやって信じろって言うの?」
「ちょっと待ってて」
彼はそう言って部屋を出て行った。こんな時間に何ができるというのだ。
待っている間少しずつ冷静になってきた。私は今だけの感情で別れを決めたわけではない。そう考えれば考えるほどこれが最良の選択だと思えた。
私の毎日は彼で埋め尽くされていた。彼は毎日私を抱いた。愛されている証だと思っていた。はたしてそうなのだろうか。
私は彼に私物のように扱われていた。だから少しでも思うようにいかなければ暴力で訴えるのだ。それでも傍に居たいと思っていた私はどんどん小さくなった。私は薄情なのだろうか。
玄関で物音がした。彼が戻ってきた。
「いつでも来てくれていいから」
彼は部屋の合鍵を差し出した。これは彼にとって大きな決断に違いない。私は無意識にそれを受け取ってしまった。
彼は私を抱きしめた。
「ちゃんとするから。凛だけを見てる」
私はまた出口の見えない湿った迷路に迷い込んだ気分になった。本当はずっと、突き当たりを行ったり来たりしていたのだ。
「ごめん」
初めて聞いたその言葉にまた胸が痛い。私がこう言えば彼はすぐに去ると思っていた。
「なんで謝るの?私のこと男好きでだらしない女だと思ってるんでしょ?」
「思ってない。本当はそんなこと少しも思ってない。ただ、凛が可愛いから心配なだけだから」
ここでときめいてはいけない。
「私以外にも女の人がいることも知ってるから。だから直正くんにも言えないんでしょ?」
「分かった。女は全部切る。約束する」
白を切ると思っていたが彼はあっさりと認めた。
「そんなのどうやって信じろって言うの?」
「ちょっと待ってて」
彼はそう言って部屋を出て行った。こんな時間に何ができるというのだ。
待っている間少しずつ冷静になってきた。私は今だけの感情で別れを決めたわけではない。そう考えれば考えるほどこれが最良の選択だと思えた。
私の毎日は彼で埋め尽くされていた。彼は毎日私を抱いた。愛されている証だと思っていた。はたしてそうなのだろうか。
私は彼に私物のように扱われていた。だから少しでも思うようにいかなければ暴力で訴えるのだ。それでも傍に居たいと思っていた私はどんどん小さくなった。私は薄情なのだろうか。
玄関で物音がした。彼が戻ってきた。
「いつでも来てくれていいから」
彼は部屋の合鍵を差し出した。これは彼にとって大きな決断に違いない。私は無意識にそれを受け取ってしまった。
彼は私を抱きしめた。
「ちゃんとするから。凛だけを見てる」
私はまた出口の見えない湿った迷路に迷い込んだ気分になった。本当はずっと、突き当たりを行ったり来たりしていたのだ。
