狂気のサクラ

電気の点いた明るすぎる部屋で、私は彼に言われるがままにシャツを脱いだ。濡れた服を脱いでも、体はまだ冷たい。
「全部脱げよ。直正の前でも脱いだんだろ」
「脱いでない。脱ぐわけない」
どうしてこんなことをされるのか分からないけれど、これきり会えなくなるのは絶対に嫌だ。
彼は急に私を引き寄せ、乱暴に服を脱がせた。そして今まで経験したことのないような恥ずかしいことを沢山させ、とても雑に抱いた。
直正にもしたんだろう、直正にもさせたんだろうと何度も言い、私は首を振りごめんなさい、悠樹くんが好き、と何度も言った。
これは彼が私を愛している証だ。私は幸せだと思いたかった。
長い行為が終わった後、彼は言った。
「お前は許してもらおうとか別れたくないとか自分の気持ちだけで俺の気持ち考えてないだろう」
そんな言葉を投げつけられ、私は咄嗟に言い返した。
「じゃあ悠樹くんは私の気持ち、一回でも考えたことある？」
私の言葉はしんとした部屋で響き、彼は何も答えなかった。