車から降りて玄関に向かっていると隣の家の浴室から湯の沸く音がし、石鹸の匂いがした。寒い夜のこの匂いが好きだ。
月は雲に隠れ、つたない月光は雲の向こうでぼんやりとしている。逸る胸を抑えようとしても心が躍る。
湯船に浸かり肩や膝を見ながら女で良かったと思った。
鏡を見ながら髪を乾かす。反転されて映る左手首には5センチほどの火傷の跡がくっきり残ってしまった。でも、それももうどうでもいい。そんな体の傷などどうでもいいのだ。あんなに痛かった心の傷が癒えようとしている。空いてしまった隙間がこんなにも簡単に閉じようとしている。
『これから帰るから来ていいよ』
久しぶりに届いた『悠樹』からのメッセージ。私の連絡先は削除されていなかった。
急いでコートを持って玄関へ向かう。運悪く父と鉢合わせてしまった。
「こんな時間にどこか行くのか?」
父が話しかけてくるのは説教の時だけだ。
「友達のところ」
父の返事も待たずに家を出た。
どうしてみんなして私の邪魔をしようとするのだ。
みんなが悠樹はやめておけと言う。あんなに仲の良かったさゆりでさえ、彼との再会を喜んでくれていない。
月は雲に隠れ、つたない月光は雲の向こうでぼんやりとしている。逸る胸を抑えようとしても心が躍る。
湯船に浸かり肩や膝を見ながら女で良かったと思った。
鏡を見ながら髪を乾かす。反転されて映る左手首には5センチほどの火傷の跡がくっきり残ってしまった。でも、それももうどうでもいい。そんな体の傷などどうでもいいのだ。あんなに痛かった心の傷が癒えようとしている。空いてしまった隙間がこんなにも簡単に閉じようとしている。
『これから帰るから来ていいよ』
久しぶりに届いた『悠樹』からのメッセージ。私の連絡先は削除されていなかった。
急いでコートを持って玄関へ向かう。運悪く父と鉢合わせてしまった。
「こんな時間にどこか行くのか?」
父が話しかけてくるのは説教の時だけだ。
「友達のところ」
父の返事も待たずに家を出た。
どうしてみんなして私の邪魔をしようとするのだ。
みんなが悠樹はやめておけと言う。あんなに仲の良かったさゆりでさえ、彼との再会を喜んでくれていない。
