長く一緒に居て結婚まで誓い合った、彼女…琉依との破局は両親に挨拶の電話をいつ入れるか決まった数日後だった。

「なぁ…何でだよ?!」

俺の前には薬指にしていたシルバーリングと琉依とお揃いで買ったクローバーのキーホルダーの付いたカキが机の上で寄り添っていた。

「…飽きたの…新しい彼氏が出来たし…」

そう言って琉依は俯いた。
嘘としか言いようのない言葉だった。
でも突きつけられたのは、言い逃れも出来ない事実。

「そんな素振り一度も…」
「言える?浮気してますなんて?」

琉依は、嘲笑う様な顔で言った。

「確かに…そうだよな…」
「快斗…」

項垂れる快斗に、琉依は戸惑う様に名前を口にする。

「馬鹿だよな…長い間一緒に居て、気づかないなんて…都合良すぎ…」

そう言って蹲った快斗を見てるのが忍びなくなったのか、琉依は最後にさよならとごめんと言う言葉を残して部屋から出て行った。
最後に残ったのは、琉依のいつもしていたスカルプチャーの香水の匂いと、寂しそうに机に並んだ、彼女の装飾品だけだった。

快斗は、最後に琉依に
メールで
「幸せになれよ。」
と短文を送り、メモリーを消した。