ーーーーーでも、俺は… 溢れそうになる、その気持ちを断ち切るかのように輪の中に入った珠希から視線を外し足早に、その場から立ち去った 「おい、須藤。もう帰んのかよ」 アンチの声が聞えたが、振り返る事はしなかった 一目見れただけで もう十分だ そう思っていたのにーーーーー 勢いよくガシッと腕を掴まれたかと思うと、俺の前に回り込んだ珠希は息を整えながら どこか憂いを帯びた瞳で顔を覗き込んだ 震える手で俺の前髪を掬い上げると、涙を流しながら消え入るような声で名前を呼んだ