抵抗する事もなく殴られる汐月を見ていられなくて目を背ける
「馬鹿な野郎だ。初めっから素直に女の居場所を教えときゃあ殴られずに済んだものの。ってか、偶然かも知れねぇが、お前も馬鹿だな。ノコノコ出てきやがって。せっかく兄ちゃんが庇ってくれたのによ〜」
ニヤニヤ笑いながら私の耳元で囁くように話す男の言葉で汐月を再び見た
「私のせいって事?」
「まあ、結果的にはそうなるな。昨日、お前が素直に付いてきときゃよかったのによ〜。ほら、頬に傷がある男。アイツ諦め悪ィから。目ぇ付けられたアンタも悪いんだよ」
そんな…そんな理不尽な事で汐月を傷つけるなんて
「お願い、逃げないからッ!もう これ以上、汐月に手を出さないで」
藁(わら)にも縋(すが)る勢いで男に言ったけれど、ニヤニヤ笑うだけ



