まだ暑さが残る中、時折 冷たさを含んだ風が髪の毛を攫ってゆく


「珠希。体、大丈夫か?無理すんなよ?」


「ん。平気」


私の体を気遣う彼は、栗色の髪を風に靡(なび)かせ心配そうに覗き込んだ


「もう少しで汐月の所だね。その後、海月の実家!そんな心配しなくても大丈夫。運動しなきゃって先生も言ってたじゃない」


「そうだけど。あんまり無理しない方がよくないか?」


いつになく私の体を気遣ってくれる海月は、本当に心配症だ


でも それは、彼の優しさでもある


お寺に着いてバケツに水を入れた


私がそれを運ぼうかしたら阻止されて、代わりに持たされたのは一輪の向日葵


汐月が眠るお墓の前に来てポシェットからお菓子を取り出して、向日葵と一緒に添えた