海月は体を離すと私の手を握りしめた
「汐月を殺った犯人を見つけ出すまでは、伝えないと決めていた。そうしないと、俺ばかり幸せになんのは違う気がして……」
波の音と混じり合う海月の声に耳を傾ける
「珠希…ホントは、それまでお前に会うつもりじゃなかった」
そっか………会うつもり…なかったんだ
胸の奥がギュッと掴まれたみたいな重たい痛みが走った
「それなのに…俺は高校受験で逃げるように、こっちへ来て…お前を見つけた。だけど自分からは名乗るつもりもなかった」
「………そぅ」
やっと出た言葉は小さく、波の音に消されてしまう
「だけど。お前に会ったからこそ、犯人を捕まえる事も出来たし、母親とも向き合う事が出来た。俺は、お前に救われたんだ」
そこで言葉を止めた海月は、私の顔を両手で優しく包み込み視線を合わせた



