「いって…マジで殴りやがった」
頭上から聞こえてくる海月の声
でも、何で?
「海月。綺麗な人と一緒じゃなかったの?」
「ん?」
海月は私を抱きしめたまま離してはくれない
「アンチ君が言ってたの。白峰の綺麗なお姉さんに拉致されたって。」
「あぁ、拉致っていうか…まぁ、間違っちゃいないけど」
ズキンと痛む胸
「気になってんの?」
耳元で囁かれ、顔が熱くなった
そんな私の顔を覗き込んだ海月は、今度は正面から私を包み込む
「そんな泣きそうな顔するなよ。心配しなくても、ちゃんと断ったし」
「……そん、なんじゃなっ」
涙を堪えて言葉がつまる



