山の麓(ふもと)にある河川、その脇にある駐車場で私達を下ろす
「どこだろ…」
周りを見渡しても、何もない
駐車場の外灯がなければ真っ暗だ
無意識に汐月の腕を掴むと、汐月が僅かに震えてる事に気がついた
「……汐月?」
私の呼びかけにも反応せず、ただ一点を見つめている
その視線の先には川辺
こんなにも動揺している汐月を見た事がない
その時、脳裏を掠ったのは学校の図書室で見つけた6年前の新聞
「まさか…ここが?」
無意識に溢れた言葉に汐月が反応した
「あぁ、間違いない。ここで汐月が殴られたんだ。体中にあったアザは人が殴るだけじゃ出来ないようなものばかりだった…俺も、あの日殴られたから分かる。可能性があるとしたら木製バット」



