その時、玄関が開くと同時に「ただいま」と声がした
おじさんだ
リビングのドアから顔を出したおじさんは、まだ若い筈なのに白髪が目立って少しだけ老けて見えた
「帰ってたのか、みづ……汐月」
「ん…ただいま、父さん」
『海月』と口走ろうとしたおじさんは慌てて『汐月』と言い直した
「あら、お帰りなさい。嫌だわ、もうこんな時間。早く夕飯の支度しないとね」
そう言ったおばさんは、さっきまでとは別人のように慌ててキッチンへ向かって行った
「ご無沙汰してます。辻本です」
リビングに入ってきたおじさんに挨拶をする
「おぉ、珠希ちゃんか!綺麗になったな。見違えたよ」
おじさんが帰ってきた事により場の雰囲気が和らいだのを肌で感じる



