途中、汐月を拾って父親が運転する車で駅に向かった
帰省ラッシュを避ける為に少し早めに行く事になったけれど…
「汐月、何かゴメンね。私の親が勝手に段取り決めちゃって」
「いや、むしろ良かったと思ってる。俺一人だったら、きっと未だに悩んで行動に移せてなかったはずだから」
そう言った汐月の横顔は、この前とは表情が少し変わって見えた
次々と流れるように景色が移り変わる窓の外
もうすぐしたら、汐月と海月が引っ越していった福岡に着くんだ
なんで、海月は『汐月』として生きなければならなくなったのか……
もしかしたら、海月が汐月として生きていく理由も解るかもしれない
私は、海月は海月としての人生を送ってもらいたい
そう強く願った



