波の流れに委ねたまま、プカプカと浮かぶ浮き輪フロートの上で二人で仰向けになって青空を眺める
周りの人達の騒ぐ声が遥か遠くに聞こえて、それがまた波の音と混じり合って、まるで自分達だけが違う世界にいるみたいに感じた
チャプチャプと耳に響く心地良い音が不思議と気持ちを穏やかにさせる
そんな中、汐月が静かに呟いた
「こうしていると何か、非現実みたいな感じだな。色んな事を忘れさせてくれるっていうか…このまま、時間が止まればいいって思ってしまう」
「うん。私も同じ事、考えてた」
そう言って汐月を見ると憂いを帯びた表情で青い空を見つめていた



