珠希と二人で海に行く約束をして心が浮き立っているのが自分でも分かる



珠希を送り届けてアパートに帰り玄関のドアを開けると、目の前に立ち塞がる弥生がいた



「そんな所に突っ立ってないで先に寝てれば…」 



言葉を遮(さえぎ)るかのように抱きついてきた弥生に盛大なため息をつく


「あのな〜、弥生。何回も言ってるだろ、お前を恋愛対象として見れねぇから。いい加減、諦めろ」


背中に回った細い腕に力が入る



「……じゃあ、どがんすっぎんよかと?この気持ち。須藤に打ち明けたあん時からずっと……もし私が、さっきの子みたいに歴(れっき)とした女やったらよかったと?そしたら少しでも可能性があったと?」



胸に埋めていた顔を上げると大きな目に涙いっぱい溜めて俺を見つめる


確かに見た目は女……いや、それ以上に可愛くなった


でも、どこまでいってもコイツは俺の幼馴染の男友達


それが俺の認識