汐月の言葉が耳から離れず、思考が停止したみたいに考える事すら出来ない
「……それでも諦めきれないって言ったら…?」
「悪い、そいつ以外考えられない」
「そっ……か。じゃあ、せめて友達として…」
「それもやめた方がいい。辛くなるのは俺じゃなく、あんただから」
冷たく突き放すような言い方だけれど、それは汐月の優しさなんだと思った
彼女は、俯きながら目元を手で押さえながら公園を後にした
私は動く事さえ出来ず、その場に立ち竦んでいた
いつの間にか夕日は海の向こうに沈み、汐月の姿も消えていた
すっかり温(ぬる)くなってしまった牛乳をぶら下げて家に着いた頃には暗くなっていて、見上げた暗い空には綺麗な三日月とキラキラ輝く星があった



