【短編】眠り姫に口付けを。





初めて見る彼女に僕自身も驚いた表情になるけどそれはほんの数秒だけ。



「君…誰?」



見たことあるんだろうけど。


僕、分かんないし。



「天宮…、…き」


“天宮”は分かったけど。


その続きが上手く聞き取れない。


だから言葉を発さないで、ん?と顔と目だけで伝えてみた。



するとその…天宮さんは急に立ち上がって、


「椿…天宮椿です」



と僕にはっきりと言った。