【短編】眠り姫に口付けを。





覚えてないって…どういうことなんだろう。


机の上に肘を付いたままボーっと考えてみる。




「…海、……教会…」


全然思い当たらない。

本当に全く。



「あっ!!ここに居たのかよー」


教室の入り口付近から大きな声を出して僕の側に駆け寄ってくる、和馬。



「何か用事でもあるの?」


「何だよ、お前には用事がなきゃ話し掛けちゃいけないって言うの!?」


「じょーだんじょーだん」



僕はクスクスと面白そうに笑う。


それは本当に面白いからなのかもしれない。