【短編】眠り姫に口付けを。





「部員皆で考えたオリジナルのお話らしいんだけどね?…それでまぁ、ここで一人で眠ってたというか……」


眠る練習ってあるんだぁ。



ちょっと複雑ながらも関心。




「へぇ─……」


「でも本当は色々、息詰ってたから…ここで日向ぼっこをしてたら、眠っちゃって」



少し照れくさそうに彼女は笑うと、

僕に視線をさりげなく向けてクシャっと笑った。



結局のところ彼女がよくここに来ていたのは“練習”っていう名目だけど。


本当は違ったりするのかも。




でもその気持も僕は分かる。


此処は何だかとても落ち着くし…




汚れた僕の心さえも透き通って透明に、何も無かったかのように感じさせてくれるから。