【短編】眠り姫に口付けを。





彼女の発した『愛』という言葉。


その言葉は、

いたって聞き慣れているようで
聞き慣れていない言葉。



「本当の愛って?」



…だけど、そもそも

“本当”なんて言葉が嘘臭い。




みんないつか変わっていく。


時が流れれば変わる。



それは世界でもありこの町でもある。


今この瞬間、僕の目の前にある空も、

地面に生えた草も、


咲き乱れる花も。