奈緒と幸雄?

気付いてたさ、仲がいいのは。

いつも遊んでるんだから仕方ねーよ。

でもそれは奈緒も幸雄も俺も

対等な関係だと思ってたからさ。

けど今は違う。

新たに俺を除いた二人の

奥深そうな関係を聞いちまったんだ。

知らなかった俺が悪いだけだと頭に置いてても

俺の心は裏切られたっていう感情ばかりがあふれていた。

奈緒が悪いんじゃない、

幸雄が悪いんじゃない、

麻紀が、

二郎が、

俺が、

誰が悪いわけでもねー

誰も裏切ったりしてねえし俺は二郎に言った。

「もういいよサンキュー。あっ!幸雄に言っとけ。重要な話しがあるって…、じゃーな」

俺は理由のない悔しさに歯を食いしばって耐えていた。

何も考えたくなかった。

イライラしていた。

【心配ねーよ、奈緒って男いねーから】

ボーッとしていた俺の耳に幸雄の声が飛び込んだ。

そうだよ、

俺は友人として幸雄に相談したのさ。

【奈緒に告白しよっかな】

俺は

【おまえの大事な女に告るんだぜ。はっきりいって幸雄が怒るんじゃねーかってびびってたよ】

好きとか嫌いとかの前に

【大事な奴】っていると思うよ。

恋愛感情を通り越して大事な奴。

恋愛感情なのかなんなのか気持ちが麻痺しちまうくらい

大事な奴っている。

人がそう思うのには、すげー関心させられた。

けど、
それが奈緒と幸雄の間に存在することはどうしようもなく怖かったよ。

自分の意思が飛んでいっちまいそうだよ。

俺なのに俺じゃねーみてーで・・

わかんねーけど苦しかった。

俺なりにまとまった考えは幸雄にさえ言わなかったよ、ずっと。

もたもたしてるうちに

中学生活は終わっちまった。