「(バッチーン) うるせえ」

「あー、ごめんなさい。すいませんもう言いません。てか聞いてくださいよ。佐藤って人いますよね」

「佐藤って人との噂をきいたことあったんですよ」

「有名らしいな」

「兄ちゃんの話じゃ、一年の頃から奈緒先輩が思ってて、毎年チョコとかバースデープレゼントとか渡してんのに、はっきりした返事がこなくて、付き合ってる風に見えてそうじゃないとか その逆とか」

「それも噂?」

「あーいや、ほとんど事実ですよ。あ、だから奈緒先輩、いろんな相談で電話してくるんっすよ。兄ちゃんも自分の話とかよくするし、俺が見てても奈緒先輩と兄ちゃんすげー仲いいし」

「ふーん」

「結構、二人の噂も聞きますよ」

「へー」

「…前に兄ちゃんに奈緒さんと関根さんどっちが彼女なの?って聞いたんっすよ」

「で?」

「兄ちゃん、ちょっと酔ってたから、はっきり聞けなかったんだけど・・・」

「なんなんだよ」

「追求したら…、彼女は関根麻紀ちゃん―。広末奈緒ちゃんはすげー大事な人。
ガキのおまえにはわかんねーよ。そのあと気持ちわりーって便所ちょっこーですよ」

「幸雄が大事って?奈緒を?」

「俺が噂あるねってシラフの時に言った時も、長いなあって言ってました」

「あっ、そうなんだ」

「あっ、俺よけいなこといっちゃいました?」

「なにそれ?」

「いや、瀬那先輩考えちゃってるから」

「てめー」

「でも、奈緒先輩だけじゃなくて、知らない女の人からも電話あったり」

二郎の話しは長かったよ。

でも俺の耳には入ってこなかった。