そう言いながらも、夜空に浮かぶ、いくつもの光に夢中な奈緒の横顔は花火以上に綺麗

に見えた。

「べっつにー、立ちっぱなしで疲れたなーってさ」

「じゃ、座っていーよー。一人でも立ってられるもん。」

そう言って、奈緒は握ってた手を緩めた。

「そーかよっ」

俺はそう言って、話した手を何気なく奈緒の肩に回した。

「―瀬那」

こっちを向いた奈緒の顔に俺の顔をそっと近づけた。

そしてちょうど良く、何発目かの大きな花火が連発して上がった。

「瀬那―」

「来年も一緒にこような」

「うん。」

俺はその時思ったよ。

俺が伝えられるもの―

奈緒に対する俺の全ての気持ち―

―それだけしかないって―