奈緒の口から佐藤という名が出た時、俺の顔はひきつってたよ、きっと。
「好きなんだろ あいつのこと」
俺はとっさにそんな言葉を出してた。やけで気持ちを言う気でいた。
流れで言えちまいそうな気がしたんだ。
俺は奈緒の肩に手をまわしたよ。
「寒くない?」
「…平気だよ。あったかいから」
どういうわけか奈緒は嫌がらなかったよ。
別に照れるわけでもなく
むしろ喜んでる様にさえ感じたよ。
奈緒は俺の方へ体を傾けてきたのさ。
俺には奈緒が何を考えてるのか分からなかった。
結構気にかかってることだった。
俺は夕方までひきとめた奈緒を、雨上がりの灰色の空の下、肩を抱いて送って行ったよ。
―
電灯のついた歩道じゃ
犬を散歩させてる奴が何人か通り過ぎてった。
少し行くと、小さめの犬を連れた奴が
横を通り過ぎた。
奈緒はその犬に目をとられちまって
「あー かわいい♪」
そういって 撫でにいったよ
俺から離れてね。
恥ずかしい、って思うより先に
そういう動作も奈緒らしいと思って見てたよ。
それと同時に俺は犬の飼い主を見た
心臓が痛かったよ。
そこには
…奈緒と俺を見比べる佐藤がいたんだ。
「好きなんだろ あいつのこと」
俺はとっさにそんな言葉を出してた。やけで気持ちを言う気でいた。
流れで言えちまいそうな気がしたんだ。
俺は奈緒の肩に手をまわしたよ。
「寒くない?」
「…平気だよ。あったかいから」
どういうわけか奈緒は嫌がらなかったよ。
別に照れるわけでもなく
むしろ喜んでる様にさえ感じたよ。
奈緒は俺の方へ体を傾けてきたのさ。
俺には奈緒が何を考えてるのか分からなかった。
結構気にかかってることだった。
俺は夕方までひきとめた奈緒を、雨上がりの灰色の空の下、肩を抱いて送って行ったよ。
―
電灯のついた歩道じゃ
犬を散歩させてる奴が何人か通り過ぎてった。
少し行くと、小さめの犬を連れた奴が
横を通り過ぎた。
奈緒はその犬に目をとられちまって
「あー かわいい♪」
そういって 撫でにいったよ
俺から離れてね。
恥ずかしい、って思うより先に
そういう動作も奈緒らしいと思って見てたよ。
それと同時に俺は犬の飼い主を見た
心臓が痛かったよ。
そこには
…奈緒と俺を見比べる佐藤がいたんだ。



