彼女は僕の好みの通りに、さりげなくポニーテールに髪を結わていた。

そんな彼女は、何故この歌を選曲したのか・・

「I LOVE YOU 今だけは悲しい歌~、聞きたくないよ~何もかも許された恋じゃないから・・・」

誰でも知っている、今や亡き尾崎・・・の名曲である。不倫の歌だったのか・・

まあそれはさておき、一概にホテルと言っても

色んなホテルを連想をする人がいるだろうが、

ビジネスホテルや超高級ホテルもそう、若かりし遥か昔に、

できたての恋人とイチャイチャ目的に訪れた

『おんぼろペンション』が、

きどってプチホテルと名付けていた記憶も捨てられない。

しかし、今二人でくつろいでいるのは、

そしてカラオケができるホテルと言えば!

そう『ラブホ』なのだ。

彼女の声はエコーのボリュームを調節しなくとも二人の空間に響き渡り、

となりの部屋のワケありカップルさえ(昼間からホテルにきてるなんて訳がないわけがない)魅了し
てしまうくらい、囁く様な、せつなさにも似た歌声だったんだ。

そんな彼女の良さを

事細かに説明してみろと言われても難しい。

なぜなら僕にとって彼女は完成されてしまっているから。

彼女の弱さも、捻くれてる所も、頑固な所も、不器用な所も、全て合わせて好きなの
だ。

むしろ、そこだけが好きなのかも知れない。

それがなかったら只の普通の女の子だし、僕はいい子ちゃんに興味はないのだ。