side:葵
パーティが終わって、家族がそれぞれの部屋に引き上げたあと。
リビングの片付けを終えてから、なんとなくソファに腰を下ろした。
時計の針はもう零時を回っている。
「……眠れないの?」
ふいに声がして、振り返ると、ステラがカーディガンを羽織って立っていた。
さっきまで笑って騒いでた姿と違って、少し大人びて見える。
「……お前こそ」
「わたしも。楽しくて、目がさえてる」
ステラは俺の隣に腰を下ろすと、テーブルの上の黒豆を一粒つまんで口に入れた。
「ねえ、葵」
「なんだよ」
「葵はさ、日本で“いいお兄ちゃん”してるんでしょ?」
ドキッとした。
母さんが余計なことを言ったんだろう。
「……誰から聞いた」
「お母さん」
ステラは笑いながら肩をすくめる。わ
「でも、今日の葵は“普通”だった。ムスッとして、からかうとすぐ赤くなる」
「……悪かったな」
「ううん。そのほうが、わたしは好き」
その言葉に、不覚にも胸が熱くなる。
「……なんでだよ」
「“お兄ちゃん”じゃなくて、“葵”に会いたかったから」
ステラの声は静かで、でもまっすぐで。
俺は思わず顔を背けた。
「……昔のまんまだな、お前」
「そう?わたし、変わったと思うけど」
「いや……笑うときの顔、全然変わってねぇよ」
ステラは一瞬きょとんとしたあと、くすっと笑った。
「葵も、変わってないよ」
二人の間に、しばらく静けさが落ちる。
でもその沈黙は、不思議と居心地が悪くなかった。
やがてステラが立ち上がり、部屋のドアの前で振り返る。
「……おやすみ、葵」
「……ああ」
扉が閉まる直前、彼女が小さく付け足した。
「また明日も、いっぱい笑ってね」
胸がざわついて、眠れそうになかった。
パーティが終わって、家族がそれぞれの部屋に引き上げたあと。
リビングの片付けを終えてから、なんとなくソファに腰を下ろした。
時計の針はもう零時を回っている。
「……眠れないの?」
ふいに声がして、振り返ると、ステラがカーディガンを羽織って立っていた。
さっきまで笑って騒いでた姿と違って、少し大人びて見える。
「……お前こそ」
「わたしも。楽しくて、目がさえてる」
ステラは俺の隣に腰を下ろすと、テーブルの上の黒豆を一粒つまんで口に入れた。
「ねえ、葵」
「なんだよ」
「葵はさ、日本で“いいお兄ちゃん”してるんでしょ?」
ドキッとした。
母さんが余計なことを言ったんだろう。
「……誰から聞いた」
「お母さん」
ステラは笑いながら肩をすくめる。わ
「でも、今日の葵は“普通”だった。ムスッとして、からかうとすぐ赤くなる」
「……悪かったな」
「ううん。そのほうが、わたしは好き」
その言葉に、不覚にも胸が熱くなる。
「……なんでだよ」
「“お兄ちゃん”じゃなくて、“葵”に会いたかったから」
ステラの声は静かで、でもまっすぐで。
俺は思わず顔を背けた。
「……昔のまんまだな、お前」
「そう?わたし、変わったと思うけど」
「いや……笑うときの顔、全然変わってねぇよ」
ステラは一瞬きょとんとしたあと、くすっと笑った。
「葵も、変わってないよ」
二人の間に、しばらく静けさが落ちる。
でもその沈黙は、不思議と居心地が悪くなかった。
やがてステラが立ち上がり、部屋のドアの前で振り返る。
「……おやすみ、葵」
「……ああ」
扉が閉まる直前、彼女が小さく付け足した。
「また明日も、いっぱい笑ってね」
胸がざわついて、眠れそうになかった。



