side:咲
「はい、こっち向いて〜!」
おばあちゃんの声に合わせて、カメラのシャッターが切られる。
おじいちゃんが三脚を立てて、タイマーをセットしてくれた。
広い庭の芝生の上、花の咲き乱れるガーデンを背景にして。
「もっと近づきなさい」っておばあちゃんに言われて、私はステラお姉ちゃんの腕に自然ともたれかかった。
お姉ちゃんは少し照れながらも、優しく肩を抱いてくれる。
隣では、茜が「ぎゅー!」って勢いでステラお姉ちゃんに抱きついていて。
その横で葵兄が「おい、前見ろよ」って言いながら、でも口元はかすかに笑ってた。
お父さんとお母さんは後ろで並んで立っていて、二人とも目が細められている。
まるで「これが夢に見た光景だ」って言ってるみたいに。
シャッターの音がカシャンと響くたびに、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
(……この瞬間を、ずっと閉じ込めておけたらいいのに)
「もう一枚!今度は変顔で!」
茜の無邪気な声に、みんなが笑い出した。
ステラお姉ちゃんも、さっきまでの大人っぽさを忘れたみたいに、子どもみたいな顔で笑って。
——その笑顔がまぶしくて、私は一生忘れたくないって思った。
* * *
撮影が終わってから、リビングで写真を確認する。
画面に映る私たちは、本当にひとつの家族みたいに寄り添っていた。
お父さんがぽつりとつぶやく。
「これが……俺の夢だったんだ」
その声は少し震えていて、聞いている私まで胸が熱くなった。
お母さんが静かにお父さんの手を握る。
「夢が、叶ったのよ」
おじいちゃんもおばあちゃんも、満足そうにうなずいていた。
ステラお姉ちゃんはその写真を見つめながら、小さくつぶやいた。
「……宝物にする」
その言葉が、まるで約束のように胸に刻まれた。
side:茜
ロンドンでの最後の朝。
スーツケースを転がす音が、やけに重く聞こえた。
「……もう、帰るんだね」
つい口に出すと、ステラお姉ちゃんが小さく笑った。
「“さよなら”じゃなくて、“またね”よ」
でも、わかってる。
次に会えるのは、きっとずっと先。
そのことを考えると、胸がぎゅっと痛くなる。
* * *
空港に着くと、出発ゲートの前で足が止まった。
おじいちゃんとおばあちゃんが、私たちを見送ってくれる。
おばあちゃんは優しく抱きしめてくれて、おじいちゃんは無言で私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
そして、ステラお姉ちゃん。
咲姉は「絶対また来るから!」って涙目で言って、ぎゅーっと抱きついた。
ステラお姉ちゃんは「うん、待ってる。Saki」と耳元でささやいていた。
葵兄は……ただ黙ってステラの目を見ていた。
一瞬だけ言葉を交わさない時間があって、最後に小さな声で「元気でな」って。
ステラお姉ちゃんも同じくらい小さな声で「あなたもね」って。
そして、私の番が来た。
「……帰りたくないよ」
涙が止まらなくて、顔がぐちゃぐちゃになった。
ステラお姉ちゃんは、そんな私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「大丈夫。茜は私の妹。どこにいても、ずっとね」
「ほんと?」
「ほんと。Promise」
その一言で、少しだけ胸があったかくなった。
* * *
「時間だよ」
お父さんの声で、私たちはゲートの方へ歩き出した。
振り返ると、ステラお姉ちゃんが手を振っていた。
その隣で、おばあちゃんとおじいちゃんも微笑んでいる。
私は全力で手を振り返した。
「またねーっ!!」
ステラお姉ちゃんの声が、英語と日本語が混じって響いた。
「See you soon! また会おうね!」
——涙でかすむ視界の中、その姿がどんどん小さくなっていった。
「はい、こっち向いて〜!」
おばあちゃんの声に合わせて、カメラのシャッターが切られる。
おじいちゃんが三脚を立てて、タイマーをセットしてくれた。
広い庭の芝生の上、花の咲き乱れるガーデンを背景にして。
「もっと近づきなさい」っておばあちゃんに言われて、私はステラお姉ちゃんの腕に自然ともたれかかった。
お姉ちゃんは少し照れながらも、優しく肩を抱いてくれる。
隣では、茜が「ぎゅー!」って勢いでステラお姉ちゃんに抱きついていて。
その横で葵兄が「おい、前見ろよ」って言いながら、でも口元はかすかに笑ってた。
お父さんとお母さんは後ろで並んで立っていて、二人とも目が細められている。
まるで「これが夢に見た光景だ」って言ってるみたいに。
シャッターの音がカシャンと響くたびに、胸の奥がぎゅっと締めつけられた。
(……この瞬間を、ずっと閉じ込めておけたらいいのに)
「もう一枚!今度は変顔で!」
茜の無邪気な声に、みんなが笑い出した。
ステラお姉ちゃんも、さっきまでの大人っぽさを忘れたみたいに、子どもみたいな顔で笑って。
——その笑顔がまぶしくて、私は一生忘れたくないって思った。
* * *
撮影が終わってから、リビングで写真を確認する。
画面に映る私たちは、本当にひとつの家族みたいに寄り添っていた。
お父さんがぽつりとつぶやく。
「これが……俺の夢だったんだ」
その声は少し震えていて、聞いている私まで胸が熱くなった。
お母さんが静かにお父さんの手を握る。
「夢が、叶ったのよ」
おじいちゃんもおばあちゃんも、満足そうにうなずいていた。
ステラお姉ちゃんはその写真を見つめながら、小さくつぶやいた。
「……宝物にする」
その言葉が、まるで約束のように胸に刻まれた。
side:茜
ロンドンでの最後の朝。
スーツケースを転がす音が、やけに重く聞こえた。
「……もう、帰るんだね」
つい口に出すと、ステラお姉ちゃんが小さく笑った。
「“さよなら”じゃなくて、“またね”よ」
でも、わかってる。
次に会えるのは、きっとずっと先。
そのことを考えると、胸がぎゅっと痛くなる。
* * *
空港に着くと、出発ゲートの前で足が止まった。
おじいちゃんとおばあちゃんが、私たちを見送ってくれる。
おばあちゃんは優しく抱きしめてくれて、おじいちゃんは無言で私の頭をぽんぽんと撫でてくれた。
そして、ステラお姉ちゃん。
咲姉は「絶対また来るから!」って涙目で言って、ぎゅーっと抱きついた。
ステラお姉ちゃんは「うん、待ってる。Saki」と耳元でささやいていた。
葵兄は……ただ黙ってステラの目を見ていた。
一瞬だけ言葉を交わさない時間があって、最後に小さな声で「元気でな」って。
ステラお姉ちゃんも同じくらい小さな声で「あなたもね」って。
そして、私の番が来た。
「……帰りたくないよ」
涙が止まらなくて、顔がぐちゃぐちゃになった。
ステラお姉ちゃんは、そんな私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「大丈夫。茜は私の妹。どこにいても、ずっとね」
「ほんと?」
「ほんと。Promise」
その一言で、少しだけ胸があったかくなった。
* * *
「時間だよ」
お父さんの声で、私たちはゲートの方へ歩き出した。
振り返ると、ステラお姉ちゃんが手を振っていた。
その隣で、おばあちゃんとおじいちゃんも微笑んでいる。
私は全力で手を振り返した。
「またねーっ!!」
ステラお姉ちゃんの声が、英語と日本語が混じって響いた。
「See you soon! また会おうね!」
——涙でかすむ視界の中、その姿がどんどん小さくなっていった。



