ー 柚side ー
朝のホームルーム。
いつもどおり静かに席について、出席簿を眺めていたら――
「えーと、今日は転校生が二人来てます。ちょっと珍しいパターンなんだけど、兄弟です」
担任の先生がそう言った瞬間、私は嫌な予感がした。
まさか、とは思ったけど。
「じゃあ、入ってきて〜」
教室のドアが開いて、2人の男子が並んで入ってきた。
「あ。」
「あ。」
私と柚が、同時に声を漏らす。
入ってきたのは、ついさっきまで家で一緒に居た――
理人と綾人だった。
ー 柚 side ー
「え、え、ちょっと待って、マジで!?」
あいつら、うちの高校に来るって聞いてなかったんだけど!?
(朱莉ママ、情報遅いよ……!)
ていうか、よりによって私と怜のクラス!?
ドアが開いた瞬間、教室がざわついた。
「え?イケメン来た……」
「二人同時って兄弟?」「てか、二人とも背高っ」
そして、軽くお辞儀してから、黒板の前に立つ。
「早坂理人です。よろしくお願いします」
理人は静かにお辞儀。
女子が一気にざわつく。
「え、イケメンじゃない!?」
「背高……」
「目が死んでるけどかっこいい系……」
さすが陰キャ美形、人気爆発。
……まあ分かるけど。
にしてもこの温度差。
「そして弟の、綾人で〜す!!ダンス大好き! 笑わせるのも得意です! よろしくお願いしま〜す!!」
今度は綾人が満面の笑みで両手を振る。
「陽キャ来たーーー!!!」
「ダンス!?マジ!?TikTokとかやってそう!」
「テンション高すぎワロタ」
「えっ!!私、雑誌で見たことあるかも」
「まって、うちも!!」
はい、真逆兄弟、爆誕。
「ん?……………」
空気が、一瞬止まった。
「え、そういえば……なんて言った……?」
「早坂……?」
「って、怜と柚も“早坂”じゃん!? え、家族!?兄妹!?」
一気に爆発する教室内。
後ろの席の女子なんて、
「待って、待って待って、
え、じゃああの美形4人組が揃って全員“早坂”なん!?
早坂家、音楽の遺伝子強すぎない!?!?」
「ちょ、ちょっと待って! 落ち着いて!!」
私は慌てて両手を振るけど、火に油だった。
「えっ! 柚ちゃんと怜ちゃんも双子だったよね!? え、誰が長女!?」
「え、4人兄妹!?
理人くんと綾人くんは双子!?てかどういうこと!?」
「家系図持って来いって!!」
ー 怜 side ー
「……なんか、同じ名字ってだけで、騒がれるの、疲れる」
私は机に突っ伏してぼそっとつぶやく。
でも、ふと顔を上げると――
前の席の子が、キラキラした目でこっちを見ていた。
「怜ちゃん、理人くんと喧嘩とかするの?」
「……しない」
「柚ちゃんはどんな感じなの?綾人くんとうるさそうだよね〜!」
「うるさいです。毎朝騒音です」
「www」
私は無言でノートを開く。
……けど、ふと横を見れば、柚が眉間にしわ寄せてて、
後ろでは理人が静かにため息ついてて、
綾人はもうクラスの中心で「早坂家ドタバタ日常話」を盛って話してる。
なんなのこの一家。
でも、まあ。
……悪くないかも、って思ってしまった自分がちょっと悔しい。
朝のホームルーム。
いつもどおり静かに席について、出席簿を眺めていたら――
「えーと、今日は転校生が二人来てます。ちょっと珍しいパターンなんだけど、兄弟です」
担任の先生がそう言った瞬間、私は嫌な予感がした。
まさか、とは思ったけど。
「じゃあ、入ってきて〜」
教室のドアが開いて、2人の男子が並んで入ってきた。
「あ。」
「あ。」
私と柚が、同時に声を漏らす。
入ってきたのは、ついさっきまで家で一緒に居た――
理人と綾人だった。
ー 柚 side ー
「え、え、ちょっと待って、マジで!?」
あいつら、うちの高校に来るって聞いてなかったんだけど!?
(朱莉ママ、情報遅いよ……!)
ていうか、よりによって私と怜のクラス!?
ドアが開いた瞬間、教室がざわついた。
「え?イケメン来た……」
「二人同時って兄弟?」「てか、二人とも背高っ」
そして、軽くお辞儀してから、黒板の前に立つ。
「早坂理人です。よろしくお願いします」
理人は静かにお辞儀。
女子が一気にざわつく。
「え、イケメンじゃない!?」
「背高……」
「目が死んでるけどかっこいい系……」
さすが陰キャ美形、人気爆発。
……まあ分かるけど。
にしてもこの温度差。
「そして弟の、綾人で〜す!!ダンス大好き! 笑わせるのも得意です! よろしくお願いしま〜す!!」
今度は綾人が満面の笑みで両手を振る。
「陽キャ来たーーー!!!」
「ダンス!?マジ!?TikTokとかやってそう!」
「テンション高すぎワロタ」
「えっ!!私、雑誌で見たことあるかも」
「まって、うちも!!」
はい、真逆兄弟、爆誕。
「ん?……………」
空気が、一瞬止まった。
「え、そういえば……なんて言った……?」
「早坂……?」
「って、怜と柚も“早坂”じゃん!? え、家族!?兄妹!?」
一気に爆発する教室内。
後ろの席の女子なんて、
「待って、待って待って、
え、じゃああの美形4人組が揃って全員“早坂”なん!?
早坂家、音楽の遺伝子強すぎない!?!?」
「ちょ、ちょっと待って! 落ち着いて!!」
私は慌てて両手を振るけど、火に油だった。
「えっ! 柚ちゃんと怜ちゃんも双子だったよね!? え、誰が長女!?」
「え、4人兄妹!?
理人くんと綾人くんは双子!?てかどういうこと!?」
「家系図持って来いって!!」
ー 怜 side ー
「……なんか、同じ名字ってだけで、騒がれるの、疲れる」
私は机に突っ伏してぼそっとつぶやく。
でも、ふと顔を上げると――
前の席の子が、キラキラした目でこっちを見ていた。
「怜ちゃん、理人くんと喧嘩とかするの?」
「……しない」
「柚ちゃんはどんな感じなの?綾人くんとうるさそうだよね〜!」
「うるさいです。毎朝騒音です」
「www」
私は無言でノートを開く。
……けど、ふと横を見れば、柚が眉間にしわ寄せてて、
後ろでは理人が静かにため息ついてて、
綾人はもうクラスの中心で「早坂家ドタバタ日常話」を盛って話してる。
なんなのこの一家。
でも、まあ。
……悪くないかも、って思ってしまった自分がちょっと悔しい。



