映画館から歩いて3分のファミレスに入り、ドリンクバーでそれぞれドリンクを入れて席に着く。
目の前に座る大西くんと目が合うと、にこりと微笑まれただけなのに、どきりと胸が高鳴った。
それはきっとまだ先程の映画の興奮が抜けきれていないからだと言い聞かせて、手元にあるレモンスカッシュをごくんと一口飲んだ。
緊張しているからか、いつもよりしゅわしゅわが強く感じたレモンスカッシュが喉に沁みたと同時に、大西くんに「今日は楽しかった?」と話しかけられた。
「……っうん!はい!楽しかった、です!すごく!」
慌てて返事をすると「よかった」と、大西くんはクスクスと笑った。
「あの、大西くんは……私が初恋だって言ってたけど、私なんかのどこが、その……」
この数時間のデートで、なんとなく大西くんの好意が偽物ではないと思った。
だからこそ、どうして私なんかを好きになってくれたのかを聞いてみたくなったのだ。
「槙田ちゃんって、ファザコンで有名じゃん?」
「……う、うん?!」
「この歳で、お父さんが大好きって声を大きくして言える人ってあんまりいないのに、槙田ちゃんは自分の好きなものを自信を持って好きって言っていて、そんなところに惹かれた」
今日、いろんな大西くんの顔を見てきたけれど、今の彼が一番穏やかで優しい顔をしている。
それがなんだか、パパがママの顔を見つめている時の顔と同じように見えて、大西くんから目が離せない。
