初恋、叶えてもいいですか?



目の前のスクリーンに目を向けるけど、どうしたって隣にいる大西くんのことを意識してしまう。

だけど映画が始まってしまえば、物語に没頭できて、あっという間にエンドロールを迎えていた。

さすが泣けると評判の映画。周りから鼻を啜る音が聞こえてきて、もれなく私もハンカチを濡らしながらエンドロールの最後まで余韻に浸ってしまっていた。


場内が明るくなると、隣で大西くんは、ぐーっと大きく伸びをしていた。

「俺さ、原作を読んでからきたんだけど、世界観が崩れてなくて良かった〜」

「ええ!もしかして大西くんも前からこの映画に興味あったの?」

「いや、槙田ちゃんと行くって決まってから、速攻本屋に駆け込んで小説を買って読んだ。その方が楽しめるかなって」

「え、決まったのって二日前だよね?てことは昨日一日で読んだってこと?」

こくりと笑顔で頷く大西くん。その行動力に感心していると、大西くんは空になったポップコーンとドリンクの入れ物を持って立ち上がった。


「このあともう少し時間ある?」

「う、うん。私は全然っ」

「じゃあ最後にお茶でもして帰ろっか」

そのお誘いに、こくんと頷くと大西くんも嬉しそうに笑って歩き出して、私はその背中を追いかけた。