「大西くんって甘い物が苦手って聞いてた」
「ああ……。俺さ、バレンタインとか貰うのあんまり好きじゃなくて、甘いもの苦手って言っておけば渡されないかなっていう予防策で言ってただけで、実はめちゃくちゃ甘党」
大西くんは少しだけ照れくさそうに笑って、ポップコーンをまた一粒口に入れて頬を緩めている。
その幸せそうな頬の緩み具合から、本当に甘いものが好きなんだって分かって、それがなんだか可愛く思えてしまった。
それに大西くんの秘密を知れて、ちょっぴり嬉しいかも……。
「あ、いよいよ映画、始まるみたい」
場内が暗くなり、小さくそう呟いた大西くん。私はスクリーンに映し出される映像に目を向けた。
映画サークルに入るほど、映画が大好きな私。観るのを楽しみにしていた映画だから、いよいよ始まると思うとドキドキする。
だけど隣から視線を感じて、ふと横を見ると、大西くんはスクリーンではなく私の顔を見てニコニコと笑っていて……。
私の顔に何かついているのかな……。
急に不安になってとりあえず顔を擦ってみると、大西くんは声を出さないようにしながら肩を揺らして笑っている。
「ごめん、映画が始まるってなったら目がキラキラし始めた槙田ちゃんが可愛いなって見ちゃっただけで、顔には何もついてないから安心して」
笑い合えた大西くんは、私の耳元でそう呟くと、そのままスクリーンに目を向けた。
