「槙田ちゃんが来てくれて、まじで嬉しいんだ。だからせめて映画だけでも一緒に観てくれない?」
こちらに振り向いて、目を細めて笑う大西くん。
いつもは他の女の子に向けている大西くんの優しい視線が、今は私に向けられている。
この笑顔でみつめられても、私は絶対に大西くんに落ちることはないと思っていた。
でもそれは、いつも遠目で見ていたからの話だったのかもしれない。
だって、いざそれが自分に向けられたら、普通に嬉しいし、ドキドキする……。
「私、実は、男の人と二人きりでデートって、初めてなんだ。だから……、」
だから、大西くんのことを楽しませることができるかわからない。
「え、じゃあ、槙田ちゃんのはじめて、一つゲットってこと?」
その質問に、こくり、ゆっくりと頷くと、「よっしゃ」と小さく呟く声がした。
「じゃあ、今日は俺が楽しい日にするから」
「うん……、ありがとう」
大西くんが、あまりに嬉しそうに笑いかけてくれるから、私も自然と笑顔になれていた。
