幻燈ショー ~苦いだけの恋じゃない~

先生はそこまで言うと、終わりを知らせるかのように、自分のマグカップを手に取った。


分かっている、次は私が真相を語る番なのだろう。


私は裏ボス達の企みを許してはいない。でも、責めるつもりもない。間違った方向に動いてしまっているが、彼女達の根源にあるのはきっと、陽平達に対する純粋な好意だ。


包み隠さず打ち明けたとして、先生は、彼女達のその気持ちまで一緒くたに否定しないだろうか?


――いや、答えは考えるまでもない。


「嘘をついたのは謝ります、すみませんでした。でも、私から話せる事はなにもありません」


私が楓とのことで泣いてしまったときに、モッさんは『くだらない』と一蹴した。どうせ彼女達の悪事も、『しょうもない理由で』と片付けられるに決まっている。


この人に、何かを期待するだけ無駄。


裏ボス達が咎められれば清々するだろうけど、もしやり返すとしても、他人の力に頼る気はない。


「今回のことを(おおやけ)にしないでくれたのは本当に感謝してます。ありがとうございました」


私が頭を下げると、視界の隅でタバコが灰皿へと押し付けられた。


先生にも何か思うところがあるのだろう。私が姿勢を戻しても、先生は煙が立たなくなった吸い殻を弄り続け、自分の手元から視線を外そうとしない。


「ふぅ――」


先生がようやく顔を上げた瞬間――突然、唯一のドアが勢いよく開き、ストッパーとぶつかった衝撃で大きな音を立てた。


「カギ開いてたから勝手にきたよーっ! てか電話出てよ!」