幻燈ショー ~苦いだけの恋じゃない~

「ごめん、何の話かわかんない」

「わからないのはこっちよ!」


裏ボスは握り拳を膝に乗せ、声を荒げた。


「どう考えてもオカシイじゃない。私達の思惑は失敗してるのに、呼び出しも注意もされてない。……まさかと思うけど、私達を庇ってるつもり?」


どうやら裏ボスは、結構なポジティブ思考らしい。自分より底意地の悪い人間はいない、とでも思っているのだろうか。


「んー。私が本当のことを知ってて、先生にも言ってないとしたら、それは貸しを作りたかったから。かな」


眉をひそめる裏ボスに対し、口角を上げながら意地悪そうに笑ってみせる。

ズルくていい。嫌な印象を植え付ければ、良くも悪くも距離は保てるはず。


「最後までシラを切るのね?」

「私としては、逆に何を企んでたのか詳しく聞きたいくらいだよ?」


あくまでも善人ではないですよ、と念押しにイタイところを小突いておく。


互いに口を閉ざすと、放課後特有の賑やかな声が存在感を増した。


「一応言っておくけど、借りがあるとは思ってないから」


先に沈黙を破った裏ボスが、風に乱された黒髪をハラリと背後へ払う。


「……それより、陽平くん達の練習試合、ちゃんと来なさいよ」


――――は?


「何よその顔」

「え?」


なに?と言われても困る。傲慢な姿勢はそのままに、らしからぬ発言をされたら、混乱しない方がおかしい。


「え、普通なら来て欲しくない……よね」

「陽平くんが来て欲しいって言ってたでしょ! 私はイヤだけど!」