幻燈ショー ~苦いだけの恋じゃない~

話を聞くカンナは、顔を上げては俯いて、その度に唇を結んで目を細める。


「私、マジメちゃんって感じじゃなかったしね。付き合っててもマイナスにしかならない、って言われたんだって。……洸太が内緒で教えてくれたくらいだから、楓は相当悩んでたんじゃないかな」


洸太はわざわざ私を自宅の焼き鳥屋に呼びつけた。それも放課後、一度家に帰ってから。それほどに深刻で、切羽詰まった状況だったのだろう。


「どうするべきかわかんなくてさ……先生に相談したんだ。カンナ覚えてるかな、国語担当してた若い女の先生」

「ああ。話しかけやすいし、みんなから人気あったよね」


歳が近くて、友達感覚で話せる唯一の先生。生理痛が辛くて図書室でサボっていたら、ジンジャーティを作ってくれるような人だった。


「あの人さ、私達が付き合う前からなんか察してたみたいで。2人で帰ってるときに駆け寄って来て、よかったねって言ってくれたの」


すごく嬉しかった。そう言葉にする代わりに、小さく微笑む。


カンナも同じ表情に変わったことで、続きを話すのが少しだけ躊躇われた。


「でもね、相談したら、優先すべきは将来の事だってキッパリと言われた。私はさ、この人ならきっと応援してくれるって思ってたんだ。……でも、違った」


途端に込み上げてきた涙を隠すために、顔を伏せ、ゆっくりと深呼吸しながら気持ちを整える。


「そのあと、担任とか生徒指導の先生にも呼び出された」


――萩原の将来を潰したくないだろ。一時の感情に流されるな。


『萩原のこと、どう思ってるんだ』

『好きです』

『じゃあバスケをやってる萩原は?』

『応援してます』


――それなら、答えは分かってるだろう。