晴士さんの冗談めいた物言いに、顔も心も自然と綻ぶ。
初めて会った時は、このノリの軽さが晴士さんの価値を下げていると思った。でも今は、彼の髪すら“陽だまり色”に見えるから不思議だ。
手を振る晴士さんに一礼すると、帰り支度を済ませて公園へと走る。待つことは何とも思わないが、待たせるのは好きじゃない。
――――あ。
夜道に煌々と光る自販機を通り過ぎて、一度足を止めた。理由は言わずもがな、一糸先生が『たまには返せ』と脳内で訴えてくるせいだ。
「おつかれ」
「あっ、はい、おつかれさまです」
公園のピクニックベンチへ近づくと、息を整えつつ一糸先生と挨拶を交わす。私が座るであろう手前の席には、既にカフェオレが準備されていた。
見る限り、用意されているのは私の分だけ――。
ベンチへ腰を下ろした私は、バッグからブラックコーヒーだけを取り、ずいと差し出した。
「珍しいじゃん、素直でいいね」
「……話があるんですよね? 文化祭の準備に来いって、お説教ですか」
茶化すような言動には構わず、臨戦態勢で挑む。コーヒーを買いはしたが、決して仲良くしたいわけではない、という意思表示を込めて。
「榎本とは喧嘩したままか?」
この話題も想定内だ。あまり話したくはないが、相談してしまっている以上、そういう訳にもいかないだろう。
「あの日以降、連絡すら取ってません。お互いに会いたくないんですよ」
言いながら、自分の弱さを実感する。
私が悪いと結論に至っても、自ら行動に移せない。おかげで更に追い詰められる。
初めて会った時は、このノリの軽さが晴士さんの価値を下げていると思った。でも今は、彼の髪すら“陽だまり色”に見えるから不思議だ。
手を振る晴士さんに一礼すると、帰り支度を済ませて公園へと走る。待つことは何とも思わないが、待たせるのは好きじゃない。
――――あ。
夜道に煌々と光る自販機を通り過ぎて、一度足を止めた。理由は言わずもがな、一糸先生が『たまには返せ』と脳内で訴えてくるせいだ。
「おつかれ」
「あっ、はい、おつかれさまです」
公園のピクニックベンチへ近づくと、息を整えつつ一糸先生と挨拶を交わす。私が座るであろう手前の席には、既にカフェオレが準備されていた。
見る限り、用意されているのは私の分だけ――。
ベンチへ腰を下ろした私は、バッグからブラックコーヒーだけを取り、ずいと差し出した。
「珍しいじゃん、素直でいいね」
「……話があるんですよね? 文化祭の準備に来いって、お説教ですか」
茶化すような言動には構わず、臨戦態勢で挑む。コーヒーを買いはしたが、決して仲良くしたいわけではない、という意思表示を込めて。
「榎本とは喧嘩したままか?」
この話題も想定内だ。あまり話したくはないが、相談してしまっている以上、そういう訳にもいかないだろう。
「あの日以降、連絡すら取ってません。お互いに会いたくないんですよ」
言いながら、自分の弱さを実感する。
私が悪いと結論に至っても、自ら行動に移せない。おかげで更に追い詰められる。
