桐生さんのお世話係?

静に車が停まる。

どうやら行きつけのお寿司屋さんに着いたようだ。


さて、あたしはどうしようかな……。

車の中にいても良いかな?

珊瑚に離乳食もあげたいし。


そんなことを考えていると、丹波さんが車から降りて桐生さんも降りる。


あっあっ、聞かないとっ。


「あのっ」

「あ?」

「車の中で待ってても良いですか?」

「あ?」


桐生さんの眉間にシワが……


「お前も降りるんだよ」

「いや、でもあたしは」


お金ないし、今ココで食べて借金を増やされるのも勘弁。

それとも見とくだけという罰ゲーム的な?

それはちょっと……今のあたしにはキツイ。

そう言うと、桐生さんの表情が苦虫を噛み潰したように。


んん?


「貧乏人に払わせるつもりはねぇよ」

「え?」

「行くぞ」

「……はい」


それは奢ってくれるということだろうか?

良いのだろうか?

戸惑っていると


「あー」


珊瑚があたしに手を伸ばしてきて笑う。

良いよ、そんな風に。


「おーい、置いてくぞー?」


丹波さんが声を掛けてくれる。


ぐ~~っ。

ダル〜〜っ。

お腹が鳴るし、ヨダレも出るし。

お寿司……お寿司!!


食べたい!!

欲望に勝てず、あたしは珊瑚の離乳食一式を持って二人の後を追った。

桐生さんの少し後ろをついて歩く。


「……ご飯は食べれてたのか?」


急に聞かれた。

ご飯か……


「夜はほぼ、アルバイトのまかないで」


今日は忙しすぎて食いっぱぐれたのだけど……。

アルバイトがない日はもっぱら卵かけご飯。

あたしは一食抜いたところでどうってことないけど、珊瑚はそうはいかないから。

珊瑚の離乳食だけは欠かさないようにしていた。


最優先。


「おま……本当に……」

「丹波さん?」


丹波さんが男泣きしてた。

どうしたの?


「今日は俺が奢ってやる!!たぁーんとっ、たぁーんと食べろ!!」


本当に奢り!!


「ありがとうございます!!」


今日1番の感謝と声が出た。