「………坂下、いい?」 古野が突然ブレーキを踏んで、車を停めた。 舞い上がってて、気づかなかった。 だってさっきまで一緒に歌ってたじゃん。 お腹抱えて二人で笑ってたじゃん。 いつの間に?ってちょっと笑いすら込み上げてくる。 「いいって……なに、が」 「言わせんの?わかるやろ」 妙に色気を含んだ笑みを向ける古野は、そのまま私の髪を指先で絡め取る。 「付き合ってない人となんか……ムリ」 「……無理?嫌?」 「……嫌、とかじゃない。そうじゃなくて……」