「ねえ、あきちゃん。気が向いたらでいいわ、気が向いたら私にあなたの、歌を聞かせてちょうだい。」

「え?」

「自信作を、作って私に聞かせてね。まってるから。そこのギタ-もってていいから。あなたの気持ちを歌にしてきてね。」


それだけ言うと、お母さんは奥に戻ってしまった。



「金谷、まってるから。自信作つくってきてな。」


そう笑った、生徒会長に少しだけドキっとして、
なんだか、涼に悪い気がした。

もうあなたは、いないのに
まだそんなことを、思っているあたしは、未練がましいなあ。


「じゃあね。あ、そだ。生徒会長にこれあげるよ。」


生徒会長にあげたのは、
ずっとかばんに閉まっていた、涼と造った歌の歌詞。


「じゃあな、金谷。これ、ありがと。みとくから。」


玄関先にあった、ギタ-を借りて、玄関をあけると、
優しい風がふいた。




-追い風ふいてる。 なんだかわからないけど・・・、

あなたの夢だった歌手を、
あたしは、目指してみることにするよ。

応援してね、涼。-


そう思ったとたん、
-頑張れよ-

涼の声が、聞こえたきがしたから、あたしはきっと、
大丈夫。