私と先生の秘密の時間

「名前は何て言うの?」


鈴音が聞いてきた。


「木下 匠(たくみ)先輩っていうの。」

「その先輩なら2年生にいるよ。確か今は彼女いないと思う。2年生だけどレギュラーだし、かなりイケメンだよね。女子バスケ部にもファンの子いっぱいいるって聞いたよ。」


やっぱりモテるんだ。
だって優しいし、気さくに話しかけてくれて話しやすいもん。
でも、彼女いないのは意外だったな。


「今度、バスケ部練習試合あるよ。一緒に見に行ってみる?会場はうちの学校だから、雪乃でも来やすいでしょ?」


先輩がバスケしてる所見たことないから見てみたい。
それに会いたい。


「全然バスケ部と関係ない人が見に行っても目立たないかな?」

「大丈夫だよ。あっ、でも、雪乃って自覚ないけど、かなり可愛いと思うから、別の意味で目立つかも。」


鈴音は何を言っているんだろうか。
人に可愛いなんて言われたことないし、もちろん彼氏だっていたことない。
ごくごく平凡な見た目なのに。
あえて言うなら、くっきり二重の目だけは自分でも気に入っていることくらいかな。


「それならやっぱり行かない方がいいのかな?」

「大丈夫大丈夫。私がしっかりガードするから心配ない。」


少し不安があるけれど、鈴音がせっかく先輩がバスケしてる所見られるチャンスくれたんだから行こう。
そうして私は練習試合を見に行くことを決めた。