生物準備室に着いて椅子に座って下を向いていたら、目の前の机に温かいココアが置かれた。


「私は甘いものを飲むと落ち着くんです。飲めそうならどうぞ。」


そう言って先生は机に向かって仕事を始めた。
何も聞いてこないでそっとしておいてくれるのが今はすごく助かる。
今は何も考えたくない。

しばらくそのまま何も言わずに下を向いたまま涙を流していたら、少し落ち着いてきた。
もう冷めてしまったけど先生が淹れてくれたココアを飲もうとしたら、温かいココアと交換してくれた。


「少し落ち着きましたか?話したくなければ話さなくていいです。誰かに聞いて欲しいなら私が聞きますよ。」


こんな失恋した話なんて聞いたって先生も困るだろう。
子供っぽい悩みだと思うだろう。
だけど、このどうしようもない行き場のない気持ちを吐き出したかった。
私は少しずつ話し始めた。