ぶつかってしまったのは片瀬先生だった。
先生は私を見て何かを感じ取ったのか、何も言わずに私の頭を撫でた。
我慢していた涙がポロっと落ちて顔を上げられなくなってしまった。


「今、生物準備室は誰もいませんから、落ち着くまでいても大丈夫ですよ。」


先生はいつもの丁寧な口調でそう言ってくれた。
私は先生の後を何も言わずに静かについていった。