東雲くんは【平凡】がわからない!

「……っ」

東雲くんの目が見開かれた。金色が大きく光った……ような気がする。

「魔術…を?」

「う、うん!駄目?回数制限あったりとか、遊びで使っちゃいけないとか決まりあったりする?」

「いや、そう厳しいわけじゃないけど……でも……」

口に手を当てうなる東雲くん。困っているのだろうか。

「あ、あの…嫌なら無理しなくても……」

「いや、無理はしてないよ。
……うん、わかった。やってみる」

「ほ、本当?」

「うん」

東雲くんがうなずく。

「どんな魔術がいいとかある?」

「え、そ、そうだなー…」

ドキドキしながら考えを巡らせる。
まだ東雲くんの魔術をすべて信じたわけでも、こうして中二病っぽい行動をすることに抵抗がないわけでもないけど。でもそれでもたのしい。

「じゃあ、やっぱり魔法とか魔術っぽいのがいい。火を出したりとか、空を飛んだりとか……」

「ど、どっちもここでするのは危ないな。あと魔術で空を飛ぶのは難しい」

「あ、そうなの。じゃあ、花を咲かせるとかは?」

私は一面の花畑を想像しながらそう言った。

「……じゃあ、若葉さん手のひらを出して…上に向けて……」

「え?こう?」

「ううん、両手で。そう……」

わたしは手で水をすくうときのように、両手を東雲くんに差し出した。

「ここに花を出すね」

「え!う、うん!」