東雲くんは【平凡】がわからない!

「し、東雲くんは……その……」

ごくん。
無意識につばを飲み込む。
なんだかひどく喉が渇いてる気がした。
カラカラになっている唇を開き、わたしは続ける。

「その……東雲くん
魔術……使えるの?」

………。
ぎゃああああ!
聞いちゃった聞いちゃった。
なにを聞いてるのわたし。
中二病復活しちゃってるじゃーーん!


「うん、使えるよ」


……あっさり。
東雲くんは全く引くそぶりも戸惑うそぶりも見せずうなずいた。

「……若葉さん、魔術に詳しいの?もしかして使えるとか?」

「え、いや!まさか!」

「そっか。……うん、若葉さん魔術の家系ではないだろうとは思ってたけど、もしかしてって」

「マジュツシノカケイ??」

また中二病っぽいワード出てきた。

「若葉さんは魔術についてどこまで知ってる?」

「え、いや、その……わたしは漫画とかで見る程度で……。
でもクラスの子が東雲くんは魔術を使えるって言ってた……って……その……」

最後の方はゴニョゴニョと消え入りそうな声になってしまう。
わたしは何を話しているのだろう。
顔が熱い。顔から火が出そうってこんな感じなのかな。

「うん、俺は魔術を使える。うちは何代も続く魔術士の家系なんだ。俺は将来それを継ぐ。だからずっと魔術の勉強をしているんだよ」

東雲くんは魔術書をスッと掲げた。