東雲くんは【平凡】がわからない!

「4階にあるのは音楽室と視聴覚室…あと3年生の教室も大体4階かな」

「…あ、楽器の音がする」

「今は吹奏楽部が練習してるんじゃないかな。…若葉さんは部活は入るの?」

「あ、えーと、今度美術部に見学行くつもり」

「へえ、いいね。そういえば光井さんが美術部だっけ?」

「うん、そうだよ。……東雲くんって部活は?」

「俺は帰宅部」

「ふふ。本当は帰宅部だめなんだよ」

「へえー」

校内案内は順調に進んでいく。
東雲くんは親切に色々説明してくれるし、聞けば答えてくれる。
ときどき光井さんも付け加えるように説明してくれたりして、思っていたよりずっと楽しかった。


「じゃあ、次はグラウンドの方に行こうか。今の時間なら運動部の練習始まってるかな」

「運動部……ってどんなのあるの?」

階段を降りながら尋ねる。
正直運動はあまり得意でないけれど、部の種類にはちょっと興味があった。
前の学校はごくポピュラーな部しかなかったのだ。

「え、うーん…普通だけどな。サッカー、野球、陸上、バレーに。水泳、卓球……バドミントン……」

「あとはテニスかな」

指折り数えて説明する東雲くんに光井さんが補足した。

「そっか。じゃあ、前の学校とほとんど同じかな」

「あはは、普通って言っただろ。昔は剣道や柔道もあったみたいだけど、みれる先生が今はいないんだって」