東雲くんは【平凡】がわからない!

「てかさ、……東雲と一緒に怒られてたよね。なんか話してたの?」

柳さんの声がほんの少しだけ低くなる。

「え、べ、別に…」

「まさか若葉さんも魔術がどうとか言われた、とか?」

「う、うーん……」

曖昧にうなずくと、柳さんたちが「やだー」と心底嫌そうな声をあげた。

「東雲、ホントに変だよね。なに魔術って……馬鹿みたい」
「若葉さん、嫌なら無視しなよ。うちのクラスのやつ、ほとんどみんな相手にしてないから」

「あ、でも……」

「若葉さん!あたしら、若葉さんのために言ってんだけど」

「え……」

柳さんの声色が変わった気がして、わたしは固まる。

「東雲と仲良くしてると、浮くよ?若葉さん、転校したばっかでそんなのいやでしょ」

「う、うん……」

浮くのは嫌だ。つらい。
だって前の学校で、わたしには友達なんていなかった。
もうあの頃に戻りたくない。

わたしがうなずいたのを見て、柳さんは満足そうに笑った。

「心配しなくても若葉さんはあたしらの友達だからね!でも東雲には気をつけなよ。それだけだよ」

「……わ、わかった。ありがとう……」

そう言ったものの、何に対してのお礼なのかはわからなかった。