東雲くんは【平凡】がわからない!

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昨日は始業式だけだったが、今日からもう授業がある。
しかも学校が変わり、教科書も一新されてしまった。
幸いにも内容については前の学校と大差なく、ついていけないということはないけれど。
それでも知らない先生に、新品の教科書。なれるまではなかなか苦労しそうだった。

(もともと、それほど成績いいってわけじゃないしなあ…)

でもせめてきちんとついていかなくちゃ。
これで成績下がったら、パパが転勤のせいだって落ち込んじゃうかも。

わたしは先生のくせや、授業の進め方を少しでも早く覚えようと必死にノートをとった。


3時間めの社会は一学期の復習から始まった。
プリントを3枚。時間までにすべて完成させること。終わればあとは自由に自習とする。
教科書で調べてもいいが、夏休みの宿題をきちんとしていたら見なくても全問正解出来るはずだと先生は発破をかけてくる。
そのためか、クラスの半分くらいは教科書にさわらずに回答を埋めていっていた。

…わたしは無理せずに、教科書で調べながら解くことにした。
そもそもこの学校の夏休みの宿題、してないしね。

つまずきながらも確実に問題をといていくわたし。
教科書とプリントを往復する視線。

ふと。
なにかが目の前をひらりと横切った。