東雲くんは【平凡】がわからない!

「ありがとう……」

光井さんに笑顔で答えながら、内心冷や汗ダラダラだった。
部活…。実はやってました。
表向きは文芸部。
でも実際は様々な本を借りたり出来るのをいいことに、魔術やらそっちの方ばかり読み漁っていた。
部員が少ないこともあり、かなりわたしのやりたい放題やっていたように思う。
もちろんそこでも自分が考えた魔術について熱く語ったりしていたし。

優しい人が多かったから、あんまり何も言われなかったけど。たぶんみんな引いていたんだろうな〜。

つか、本当に以前のわたしやりたいことやりすぎ。
ちょっとしたことで黒歴史がポコポコでてきて辛いよぉ。

「若葉さん?どうかした、ボーッとして…」

「あ、な、なんでも!美術部、どんな感じかなーって思って…」

「ふふ。別に普通だよ。キャンバスに油絵を描く人もいれば、ペンでイラストを描いたりもするし。若葉さんは、絵を描くの好き?」

「あー、うん。でも油絵よりはイラストの方が好きかも。漫画とか」

「そうなんだ。私も漫画好きだよ。どんなの読んでる?」

「え、えーと…少女漫画かな。月刊コスモスとかの」

「コスモス私も読んでるー。お姉ちゃんがずっと買ってるの。キラ恋とか面白いよね」

本当はもっとダークな漫画が好きなんだけど、それは今は封印中なので。

……ああ。でも、光井さんと話すの楽しいな。
あんまり息苦しくないっていうか、会話のテンポが似ている気がする。