東雲くんは【平凡】がわからない!

「光井さん…」

じーん。光井さん、めちゃいい人!うれしい!
光井さんとも友達になれるかな。柳さんと同じグループみたいだし、きっと大丈夫だよね。

わたしたちは流れでなんとなく一緒に並んで歩き出した。
祝!クラスメイトとの初登校。しかも友達になれそうな子との。
なんだかわたしの転校生活、順調すぎじゃない?

「若葉さん、昨日はマリヤちゃんたちと帰ったの?」

光井さんがそう尋ねてくる。
マリヤちゃん…柳さんのことだよね。

「うん。クラスのこととか、色々教えてくれて…」

主にヤバい(らしい)男子についてだけだけど。

「そう。マリヤちゃん、面倒見いいよね。私もクラスに馴染めずいたときにマリヤちゃんが声をかけてくれたの」

「そうなんだ」

「若葉さん、転校したばかりで大変だと思うけど、困ったこととかあれば遠慮しないで言ってね」

「あ、ありがとう」

やっぱり光井さんいい人!

「…あ、そういえば若葉さん。前の学校では部活ってやってた?」

「!!!」

部活!!

「あ、……えーと。部活は……やってなかった……かな」

「そうなんだ。私、美術部なんだけど、興味があればどうかなって思って」

「美術部!いいね!」

「本当?じゃあ、また若葉さんの都合のいいときに見学にきて。私、ほとんど毎日部活に出てるから」